雨の匂い

朝目覚めたら雨が降っていた。それは空から降ってきて、私の心の中にしみ込んでくる冷たい雨だった。珈琲を飲みながらぼんやりと雨の音を聴いていた。雨の音は雨粒がどこかに着地する音であり、私の心の中にまでしみ込んできた雨は、底が深くて着地する音がなく、無音だった。しかし、濡れているという感覚はあり、それは涙になるのか、それとも渇きを癒すだけの潤いになるのかは分からなかった。私はお酒を飲めないけれど、雨の音だけでお酒を飲めるタイプだろうと思う。つまみも可愛いお姉ちゃんもいらない。ただただ雨の音を聴いたり、喧噪の中ふらふらしながらワンカップのお酒を飲めるタイプ。お酒を飲めなくて正解である。ひと粒の幸せと金色の悲しみに彩られた人生の中で、孤独と珈琲と物語があればいい。孤独はいつもそばで寄り添っている。珈琲は濃い目に入れて飲む。物語は自分で作る。いつもそばにあるものばかり。

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