この断崖から飛び降りると
翼が生えて飛べると、きみは言う
なばなで敷き詰められた
庭に住むユトリロの好きな
名もなき詩人
乱気流に巻き上げられて
虚空を飛ぶ
たどりついた落下点にきみがいた
深く通じ合い、傷つけ合い、愛し合った
心は解放された
ラプラス方程式の解法を呟きながら
傷ついた心を介抱した
淀んだ湖に流れが生まれるように
快方に向かった
具体的な言葉なんて一つもない
きみの言葉は緻密な暗号で
私の言葉は抽象画のようだった
それは、共鳴し、呼応して
ガラスに傷をつける作業に似ていた
永遠を求めると一瞬を見失う
刺し違えるような刃と刃のぶつかり合い
壊れることも厭わずに求め合った