今宵は満月

お風呂上りに、夜風に当たりたくて、表に出てみる。水銀灯がチカチカと揺れて、地虫が鳴いている。ジャスミンの香りがする。頬を撫でる風。車の走り去る音。目を瞑って、シルヴィア・プラスの詩の一節を口ずさむ。この記憶は死んで灰になってしまったら、どこへ行ってしまうのだろう?漠然と考えて、例え形として残らなくてもいいかと夜空を見上げた。ペンのインクを流し込んだ闇。私の体も闇に包まれて、同じ色。真昼の可視光線の美しさ。しかし、本当の私は闇の色と同じ。もし好きな人ができたなら、この情景を伝えたくて、用もないのに電話をかけるに違いない。山影、まだ月は見えない。今宵は満月。

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