それはきっと正夢になる

高台の堤防で海を眺めていると、東からの潮と西からの潮がぶつかって、さぁーとみるみるうちに満ちてきて、気がついた時には、堤防を乗り越えるほどの深さになった。溺れそうになりながらも、もっと高台へと上がる。細い路地を抜けると、和風建築の二階に家具屋があり、品のいい奥様が店番をしている。私が会釈すると、にこっとほほ笑んで会釈を返す。一枚板を使った机を購入して、七万円を支払った。表に出ると、若い頃に亡くなった親友が黒いコートを着て立っている。後を追うと背中に大きなヒルが食いついていて、思いっきり引っ張って取ってあげる。会いに来てくれたのかと尋ねると、黙ってうなずく。そして、これが私の将来の妻だと紹介してくれた女性は、細く背が高くて、一重まぶたで落ち着いた風情の方だった。私より少し若く見えた。この先いつ会えるのかと心の中で想うと「近い未来」と答えが返ってきた。満ちていた海は荒い波になって、家具屋を襲っていた。家具屋のご婦人はそのうちに波に飲まれそうだった。救いに行かなきゃならなかったし、私の購入した机も届かなくなると思っていると、「世の中にはどうすることもできないことも多々あるの」と私の袖を引っ張って、将来の妻は制止した。私だけを見ていてほしい・・・そう目で訴えかけているようだった。その目はどこか寂しげで、真っ直ぐに私を見ていた。少したじろいでしまう様な強い眼差しだった。制止した私の手を胸に当てた。そんなにふくよかな胸ではなかったが、やわらかく、手にしっかりとリズミカルな鼓動が伝わってきた。「会いたい」と心の中でつぶやくと、「もうすぐ会えるから」と返事が返ってきた。目が覚めると、午前5時半過ぎ。山のそばの家だけど、かすかに潮の匂いがしていたような気持ちになった。

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