夕暮れ

仕事を終えて、駅前のバス停でバスを待っていた。やや霞んだ月が輝き、西の空に残照が揺れていた。特急列車から降りたサラリーマンが、列をなしてタクシーを待っている。いつもは駅のロータリーで数台待っているタクシーも、午後6時台のサラリーマンの数には対応できていないようだ。一人ひとりの姿がシルエットになり、顔は見えない。それぞれにドラマがあり、喜びも淋しさも辛さもあるだろう。人には物語がある。才能ある脚本家なら、どんな人の物語もドラマチックに描けるものだろう。そう思うと胸がじんとした。尊重する気持ちは自然と芽生えるもので、習って身につけるものではないのかもしれない。習って身につけたものからは、矛盾に躓いたり、嘘っぽさに苦しんだりするものかもしれない。学校の道徳の時間はなくして、夕暮れ時に日が暮れてしまうまで、人の様子や空の様子を眺めている時間を設けた方がいい。そんな浄化作用と言うか人間の大事な心は夕暮れ時に育まれる。オーロラを見に行ったり、特別な風景ではなくても、日が暮れている様子から大事なことを感じる。学ぶのでもなく、得るのでもなく、感じるのでもなく、ただ身を置くだけでいいのかもしれない。そんなことを思う一日だった。

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