バートバカラックの歌を聴きながら目覚めた朝、ひんやりとした心地いい空気がまだ眠ったままで、起こさないようにそっと起床した。波間で浮かぶメッセージボトルのように揺られながら、詩を詠んだ。私には人を裁けるだけの誠実さや厳格さがない。根底に流れるのは汚れてしみったれた人間の醜さと孤独だけ。 濃いめに入れたコーヒーを喉の奥に流し込むように飲む。心の奥底を引っ張り出してきて苦悩にゆがむ時間も、長く生きていると、楽しみの一つになりつつある。それは良いことでもある。心に刻まれた予感はぼんやりと明るくて、少し先の道を照らしている。
